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ライブレポート onlinedeofflineプロデュースDROPSHIP LIVE ep.3 : Paloalto , Kid Milli , Toigo , Skaaiら公演!

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ライブレポート onlinedeofflineプロデュースDROPSHIP LIVE ep.3 : Paloalto , Kid Milli , toigo , Skaaiら公演!

公演当日、生憎の雨ながら、渋谷WOMBにはファンが押し寄せ長蛇の列が作られた。
今回レポートするLIVEのイベント概要はこちら。

4人のラッパーの登場を目前にして、まず本イベントを企画したDNOPFのDJプレイで観客は熱くなる。本公演の来日メンバーのバックDJは全てDNOPFが務めた。

4人4色の印象的だったパフォーマンスについて、楽曲に込められた意図を紐解きながらピックアップして振り返っていこうと思う。

Skaai

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今回唯一となる日本人ラッパーSkaaiがトップバッター。1曲目はSkaaiの頭の上のトレードマーク的存在である『BEANIE』で登場。2曲目は2021年リリースしたファーストシングル『Period.』で、ラップはもちろん転調後のシンギングパートで歌唱力も存分に披露した。『Laws of Gravity』で自己紹介がわりの3曲を終え、「この後韓国から来たラッパーたちが出てくるけど、その前に一緒に盛り上がりましょう」と挨拶。

HOMEWORK』は韓国HENZ CLUBでのライブでも披露された韓国語のリリックが織り交ぜられたユニークピースである。幼少期から各国を転々と生活し、特に韓国語に関しては学生時代に単身韓国滞在経験をしたSkaaiだからできる言語表現だ。SkaaiのバックグラウンドはGQ JPANより公開されたYoutube動画でもぜひ確認して頂きたい。

「踊ろうよ!」と始まったのはハウスビートが気持ち良い未発表曲。クラブで踊り狂いたくなるような、今後のリリースが待ち遠しい一曲だ。SIRUPにfeatし話題の『FINE LINE』も披露。Fine lineとは、 “紙一重” “微妙な境界線”を意味する言葉。ダンサブルなビートに合わせてSkaaiらしい社会派なギミックの良さがきらりと光る。

最後は、初期からskaaiと共に活動し今回もバックDJとして参加しているuinがRemixを手がけた『Nectar. uin Remix』で観客を踊らせる。原曲のジャジーさも失うことなく踊れるリミックスに仕上がっている。『FINE LINE』でも触れたが、Skaaiの楽曲テーマとして境界について記すことが多々あるように思う。例えば、過去と現在、社会と社会性を持った個としての自分、観客や同業者ともう一般人に戻れないラインを超えてしまったアーティストとしての立場などである。『Nectar.』の歌詞でも、上京した彼の静かに燃える向上心と、振り返ったら飲み込まれてしまいそうな過去に置いてきた思い出のぐらつく不安定感をリリカルに歌い上げている。

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以下、韓国HIPHOPに影響を受けたと語るSkaaiに、今回韓国ラッパーに混ざってパフォーマンスを披露した感想を語ってもらった。

Skaai

Skaai

そもそも自分は、韓国のラップを入口としてヒップホップ自体に興味を持ったということもあって、今回共演したアーティスト達に対するリスペクトが物凄くあります。だからこそ、今回自分がアーティストとして同じステージに立ったことは、不思議ですがとても貴重な経験でした。

今自分は日本をベースに活動していますが、このような国外のアーティストとの交流を通して考えさせられる点が多くあります。それは音楽性に関することや、そもそもの視座に関することなどです。音楽の作り方からライブの仕方まで、国によって色々違うんだなあと気付かされます。また実際にライブをしていて驚いたのは、日本にいるkhh (韓国HIPHOP) ファンの多さと熱量の高さ。自分がただのオタクをしていた時には周りに全くいなかったので、新鮮かつ感動しました。笑

コロナ禍を経て日韓の行き来が容易になった今、Skaaiを含めた文化的にも多様なアーティストたちのグローバルな活動に期待である。

Toigo

Skaaiのステージで十分に温まった会場だが、Toigoの1曲目はいきなり『WE』からスタート。こちらの楽曲はShow Me The Money11(以下SMTM)で披露された曲のため、番組を見てしっかり予習してきたファンも多かっただろう。
TITH』と『LIKE WATER REMIX』もフックの「twerk in the hood」「Drippin’ like water」が特徴的で、Toigoの参加する曲は英語の1バース覚えていけば一緒に楽しめる曲が多く、日本で韓国語より英語の方が一般的に馴染みがあるという点では、ある意味日本人向きであるかもしれない。
来日歌手が日本人ファンに対しての印象としてよく発言する「反応がシャイで大人しい」「一緒に歌うよりもしっかりと耳を傾け聞き入る人が多い」というのは、韓国人歌手からも稀に耳にする発言である。過去にアリアナグランデが日本人ファンのイメージとして「私の言葉を静かに聞いてくれている姿がとてもキュートで好き」とインタビューで語っているのを読んだことがある。どんな場面でもMCやステージパフォーマンスの邪魔をするのはいただけないと思うし、勿論歌手目線でそのように好印象に感じるのもまた1つの日本人のはっちゃけ無さの良さではある。ただ私は客目線で、コール&レスポンスが大声で起こるライブのような、歌手と観客のやり取りがあるほど現場に来たなあと実感できてとても良いなと思う。撮影よりもリズムに乗って踊り狂って世界に入り込んでいたり、知らない人同士でも目が合ったら微笑み合って「楽しんでますね!」とアイコンタクトできる人がいると尚面白い。また時代的にはマスク着用義務の解禁や声出しOKのライブが増え、コロナ禍ではあり得なかった光景、一体感に、懐かしささえ覚える。

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私が今回のToigoステージで一番楽しみにしていた『BAAM』と『GET THAT DOUGH』もそのような楽しみ方ができる曲のうちの一つだった。「次の曲では “GET THAT DOUGH 벌어 GET THAT DOUGH “と一緒に言って!」としっかりコール&レスポンスの練習時間も挟んで、みんなでジャンプして一緒に歌って楽しんだこの曲は、前述した曲と共に[JIGGY BOY]に収録されている。ゴキゲンなクラブチューンばかりが集まっているハイテンションな本作をまだチェックしていない方には、ぜひ通して土曜の夜にでも聴いてみて欲しい。

SMTM11放送当時は聖水洞のアングラ出身の彼が王道Jay Parkチームでうまくやっていけるのかな?とも思ったが、わかりやすく盛り上がれるクラブチューンを多く出しているToigoとJayのエンタメ性との相性も今思うと悪くなかったのだなと感じる。ステージ中では曲が始まると同時に水を撒き散らし、そうかと思えば次には構えたペットボトルを撒かずに飲むなど、観客の笑いを誘うエンターテイナーなワンシーンもあった。MCでも、「オオタニ!ダルビッシュ!ホンダ!カガワシンジ!」と、頑張って知っている日本名を思い出してみたりファンとの質疑応答を楽しんだりした。

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観客の盛り上がりが最高潮になったところで、照明は真っ青に。SMTM11で大ヒット曲となった『BLUE CHECK』だ。メンターJayの企画力もあり、SNSですぐさまBLUE CHECKダンス動画は拡散された。ここで歌われる青色のチェックマークとは、InstagramなどのSNSの公式認証マークを意味するものである。ブルーチェックマークのように自分の音楽で実力を証明するという曲だが、最後は客席に降りてフロアのど真ん中でファンにまみれながら、まさにその人気ぶりをファンの盛り上がりを証拠に証明してステージを終えた。

Paloalto

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言わずと知れた韓国HIPHOP界の大御所Paloaltoが4年ぶりの日本公演で1曲目に披露したのは最新アルバム [Dirt] から『Survivor』だ。 [Dirt] は2022年にリリースされた約3年ぶりのフルアルバムで、長年率いたHilite Recordの活動にピリオドを打ち、盟友The QuiettYUMDDAらが設立したDaytona Entertainmentに合流した彼の転換期を象徴する作品でもある。過去の人気曲を1曲目に持ってきて最初から最高潮の盛り上がりにすることだってできたはずだが、こうして今現在の彼をリアルタイムで披露してくれる姿には、観客とpaloalto自身と自らの作った音楽に対する誠実さを感じる。

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そして2曲目は現在の地位を確立させた名盤 [Chief life] から、『Timeless』だ。タイトルを直訳すると、”永遠の” “時代を超えた” となる。タイトルの通り、彼が無名だった少年期のことを振り返り今の自分と比較するような曲だ。この時点でなんという芸術的なセットリスト。「過去の全てが今の自分を作った」「ありきたりなラッパーじゃなく芸術家」という歌詞に何度でも頷ける。なぜPaloaltoがここまで名を上げたのか?という点で、私の印象だと彼の素直さや正直さがあると思う。
『Timeless』の中では、自分だけストリートの友人たちのような悪事はしていなかったとか、考え抜いた創作物を披露するのは楽しいとか、飾らない赤裸々な歌詞が綴られている。韓国語で音楽を意味する음악(umak)は、漢字語としてそのまま “音楽”と訳すことができる。くだらない争いを好まず音を楽しんでFLEXする、その純粋な気持ちこそ、彼が支持され続ける要素であると思う。

二人が揃うことが今後日本で起こり得るかわからない、とても貴重な『PRICELESS (feat. Toigo)』もしっかり披露。後輩の顔もたて、『4 the Youth Freestyle』でリリシストらしさもしっかり見せつけた後で、『厨二病』『fadeaway』『亀甲船』と、耳と記憶に情報過多なほど立て続けにアップテンポな人気曲をメドレー形式で歌い続ける。どれもファン層は違えど有名ラッパーが客演した曲だ。

例えば、『厨二病』は韓国HIPHOPを語る際に欠かせない通称DAMOIMの面々のDingo企画により完成した曲だ。ちなみに、今でこそ「韓国のHIPHOPって日本で流行ってるよね」と度々言われることが増えてきたものの、この番組企画やこのメンバーの歩みについてを知っている日本人は、流行り物という認識ではなくリアルタイムで昔からKHIPHOPに馴染みがあったか、音楽史として後から頭に入れておこうという興味で後から知った人だろう。音楽史的とは、US HIPHOPで言う、West side , East sideとは何で誰がそこに値するのか?みたいなことだ。『Fadeaway』は、ファッションや独特な声質がキャッチーでキャラクターアイコン的な可愛いらしさなどから若い女性からの人気が高いJvcki Waiや、柔和な声質は歌わせてもタイトな韻を踏ませても一級品でサバイバル番組では彼が客演したら必ず勝つとのジンクスも唱えられたことのあるCoogieが参加してしている。『亀甲船』は元Block BのラッパーZICOが参加しており、彼が現役アイドルだった頃からファンに愛されてきた曲なのでアイドル好きからの知名度も高い。
ここでざっと共同製作者の名前を挙げただけでも、オールラウンダーとは、良い意味での人脈HIPHOPとは、彼のことと言えるだろう。顔が広ければ何でも良いわけではない。誰にでも合わせることができながら自分のスタイルを曲げることなく、アンダーグラウンドの若手に手を差し伸べ引き立て、勿論自分一人で完結する曲も等身大のリリックでモチベーションを保ち続ける。ジャンルが乱立してSNSが普及し、姿ばかりの者も含めた表現者で溢れかえる音楽界で成功し続けることは誰にとっても容易ではないはずだ。本公演のセットリストや立ち振る舞いからは、いつにも増して彼の優しい心が背負った重みと音を楽しむ実直さが透けて感じ取れた気がする。

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Kidmilli

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一層黄色い歓声の中、最後に登場したのはKidmilli。2020年にシングルでのみリリースされたラブソング『999 ᐸ3』からスタート。タイトで攻撃力の高いラップが魅力のKidmilliだが、『999 ᐸ3』はひずんだ気だるげなフックとそれに合った哀愁漂うギターサウンドがエモーショナルな楽曲だ。
2曲目は同じWYBHのGIRIBOYにfeatした『I’m sick』。YoutubeのMVは1146万回再生を超えており、大ヒット曲と言っていいだろう。優しく爽やかなトラップビートとは裏腹に、自分も周りも気にせずランナーズハイな状態で病的なほど働いて稼ぐという皮肉混じりな内容である。誰しも、一生懸命学業や仕事をしてハイになっている中一瞬だけ「何やってたんだっけ?」と燃え尽きかける瞬間を経験したことがあるのではないだろうか。まさにこの時、声出しと立ちっぱなしで疲れかけていた体にガソリンをぶっかけられて「まだ終わらんぞ」と再着火されたような感覚だった。

MCでは「前に日本でライブした時よりも会場が大きくて今回のshowめっちゃ気分がいいです」と語る。親日家としても知られるKidmilliは今回「韓国語わからない方いますか?」と前置きもしながら、驚くほど日本語も交えたMCを披露してくれた。そして「東京にいる後輩を連れて来ました」と言って現れたのは、AP archemyに新たに所属したRaf sandouだ。「今日は先輩に命令されて来ました」と冗談も交えながら、リリースされたばかりの『step back b**** ’cause I’m too fye』を二人で披露。
Raf sandouは2019年からOkashiiのクルーとして活動し始めたラッパーで、インディペンデント時代からRAVIやChillin Homieに客演してきた新進気鋭の若手である。なんと新宿出身であるらしい。

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その後も『Indigo』『Why Do Fuckbois Hang Out on the Net』『Flex』と定番の人気曲で盛り上げたが、今回のライブでファンが特に喜んだのはリリース前の楽曲を先取りで披露してくれたことだ。4月18日にめでたくリリースされた『BORA』は、トップアーティストとして世界を飛び回りながらファッションアイコンとしても著名な彼らしさを含ませ「幼い頃から違っていた」「アジア人でネックレスが輝いてるからみんな変に見てくる」と、表現者として世界で戦っていく上で感じたであろう視線についても記している。

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最後はDNOPFのDJタイムにも流れて会場を沸かせた『GOOD DAY』だ。「昼間は青空 星が見える夜 気分が良い日は久々に集まろうか 僕は僕が生きていく人生を本当に愛するよ」という、これでもかと言うほど終わりに相応しい綺麗な曲だ。SMTM7にて披露されたヒットソングで、Paloaltoも自分のパートのために合流し、SkaaiとToigo , Raf sandouも再度登場して全員で盛り上がった。星のなかなか見えない道玄坂 WOMBでのDROPSHIP LIVE ep.03、星の代わりに輝くスポットがステージを照らして公演の終わりを告げた。

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