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2つのレーベルを率いながらRoc Nationとも契約した韓国系アメリカ人ラッパーJay parkとは

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2つのレーベルを率いながらRoc Nationとも契約した韓国系アメリカ人ラッパーJay parkとは

2つのレーベルを率いながらRoc Nationとも契約した韓国系アメリカ人ラッパーJay parkとは
本名パクジェボム
生年月日1987年4月25日
出身地アメリカ合衆国ワシントン州シアトル
レーベルROC NATION , ( AOMG , H1GHR MUSIC ) , MORE VISION
デビュー2009年 JYP所属ボーイズグループ2PMメンバーとしてデビュー

Jay Park (以下ジェボム)は、AOMGとH1GHR MUSICという2つのレーベルを設立し、自らもアーティスト活動を行うラッパーです。2022年1月1日にAOMGとH1GHR MUSICの代表を退任することを発表しました。

世界的ラッパーの前身は実はJYP所属アイドルグループ2PM

学生時代、地元シアトルでB-BOYクルーに所属し活動していたジェボムは母親の勧めでJYP Entertainmentのオーディションに参加。その後、合格したものの、本人はその時まだアイドルではなくダンサーのオーディションだと思っていました。合格したらデビューできるというわけではないのが韓国芸能界。練習生として過ごした期間は4年かかりました。また韓国語が話せなかったため、練習生として歌やダンスに加えて語学の習得にも励みました。
そして、2008年にK-POPボーイズグループ2PMのリーダーとしてデビューを果たします。しかし慣れない韓国での生活や文化、自分が思い描いていたアーティスト像との方向性の違いにより、事務所が正式に2010年2月に脱退発表を行いました。

ソロ活動の開始

脱退をきっかけに、ジェボムはアメリカへ帰国します。そして地元の仲間とシアトルを拠点にAOM (Art Of Movement)というクルー名を掲げダンサーとしての活動を再開しました。その一方で、シンガーとしてのソロ活動も行っており、現在AOMGでプロデューサーを務めるCha Cha Maloneともこの頃から共同作業するようになりました。

2010年6月、韓国へ戻ったジェボムはSidus HQと契約。2012年2月にはファーストアルバム『New Breed』を発表し、韓国チャートで1位を獲得し人気を取り戻しました。

アーティストを一番に考えるレーベル AOMG設立

2つのレーベルを率いながらRoc Nationとも契約した韓国系アメリカ人ラッパーJay parkとは

2013年、3年間籍を置いた事務所から離れAOMGを設立。その後、ラッパーSimon Dominicがレーベル共同代表になります(2018年退任)。設立当初から、商業主義よりもまず個々のアーティスト性に焦点を当て、アーティストやプロデューサーを第一にサポートし、育成することを目的としていました。プロデュース能力に長け、活動から2年以内にAOMGのアーティストは韓国とアジア地域のすべてのメインストリーム音楽チャートで首位を獲得しています。

AOMGは、「Always OMGrind」「Above Ordinary Music Group」という意味。
名前の由来は、シアトル時代のB-BOYクルーから。

レーベル設立前、ジェボムと同じく韓国系アメリカ人ラッパーDok2のレーベル「Illionare Records」への所属を願い入れたものの、断られたという話も。

自身の会社を経営しながらもアーティスト活動は止まることはなく、2016年リリースアルバム『EVERYTHING YOU WANTED』はKorean Music Awardsにて2017年ベストR&B ソウル賞を受賞。また同年アーティストとしても、2017年最優秀アーティスト賞も受賞しました。

自身のプラットフォームを活用して重要な社会的活動を支援するという目的意識を持ったジェボムは、化粧品ブランドMACおよびInStyle Magazineとコラボし、World AIDS Day 2016を支援。AOMGはソウルで行われたWorld AIDS Day Red Partyのヘッドライナーを務めました。ファッション誌 W Magazine Koreaとは乳がん啓発のためにコラボするなど、数々の社会的活動も行ってきました。
その功績が世に知れ渡り、当時のアメリカ アル・ゴア元副大統領は、より健康的な世界を促進するために、韓国とアジアを代表する「24HoursofReality」にジェボムを招待しました。

Jay-Z 率いるレーベル Roc Nationとアジア人初の契約

2つのレーベルを率いながらRoc Nationとも契約した韓国系アメリカ人ラッパーJay parkとは

2017年、ラッパーJay-Z(ジェイズィー) がLive Nation Entertainmentと共同設立したレーベル Roc Nation(ロックネイション)との契約成立。アジア人アーティストとして初の出来事でした。ラッパーという立ち位置に留まらずマルチに活動しているJay-Zは、ジェボムにとって模範的人物だったと言えるでしょう。

Jay-Zとは、史上最も高く評価されているラッパーの1人であり、3つのレーベルを設立、音楽活動も行いながらスポーツバーやファッションブランドも運営したアーティスト兼起業家。現時点で21のグラミー賞を獲得している。妻はビヨンセ。

韓国人としてのルーツを受け入れながら、文化的にアメリカ人としてのルーツを守ってきたことや多文化・他者への深い理解が契約のきっかけの一つになったようで、その人柄や社会的活動がアメリカの音楽業界からも高い評価を得ています。

2018年、2 Chainzをフィーチャーした『SOJU』、Vic Mensaをフィーチャーした『YACHT』、GASHI & Rich The Kidをフィーチャーした『FSU ” 』を含むUSデビューミュージックカプセル『Ask Bout Me』をリリースし、全米デビューしました。

2つ目のレーベル H1GHR MUSIC 設立

2つのレーベルを率いながらRoc Nationとも契約した韓国系アメリカ人ラッパーJay parkとは

2017年、生まれ故郷シアトルと韓国に拠点を置いたインターナショナルレーベルH1GHR MUSICを設立。活動初期からすでに国内外問わずアーティストが参加し、より国際的に、メインストリームとアンダーグラウンドの垣根を越えてアーティストをサポートすることを目指しました。

ジェボムの目的としていた若手育成も功を奏し、H1GHR MUSICからはTrade LをHIPHOPサバイバル番組 高等ラッパー4の優勝者として輩出しています。またこの番組には、自身とレーベル所属アーティストのpH-1 , WOOGIEもプロデューサーとして参加しました。

ファッションブランド A6OVE をプロデュース

2つのレーベルを率いながらRoc Nationとも契約した韓国系アメリカ人ラッパーJay parkとは

スタイリッシュでファッショニスタとしても人気のジェボムは、自身のレーベルAOMGからファッションブランドA6OVE(アヴォブ)をローンチ。
ストリートスタイルを軸に、旬を取り込んだカラーやデザインなどを落とし込んだラインナップを展開し、アーティストのファンの若い世代を中心に人気を博しました。また、ファッションブランドKAPPAやLMCとのコラボレーションや、日本を含む世界各地でポップアップストアの開催やライブイベントも行い精力的に活動しました。

2つのレーベルを率いながらRoc Nationとも契約した韓国系アメリカ人ラッパーJay parkとは
Lee Hiのグッズ

A6OVEショップからは、所属アーティストの公式グッズも発売されています。

AOMGおよびH1GHR MUSICのCEOを退任。今後の活動は?

2022年1月1日に自身が設立したレーベルAOMGとH1GHR MUSICのCEOを退任することを、Instagramを通じて発表しました。それに伴い、シングル『To Life』をリリース。リリースから1週間でyoutube再生回数は1000万回を達成しました。
MVには現在2つのレーベルに所属するアーティストが勢揃いしており、代表の新たな門出を応援しました。

また直後に今まで使用してきたInstagramアカウントを非公開に。ファンの間では芸能界を引退するのか?と心配の声もあがりましたが、レーベルを離れてもアーティストのサポートはすることを明言。そして新事業として韓国のソジュを世界に送り出そうと「WON SOJU」の開発を進めています。
韓国をルーツに持つ彼の世界への挑戦はまだ終わっておらず、次のステージへと進んでいる最中。

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